ノートPCへのLinuxインストール
 

1.何故ノートPCなのか?
  仕事柄稀に外出先や出張先でPC−UNIXサーバーのメンテナンスを行なうので
 常々「持って歩けるUNIXマシン」が欲しいと思っていたのが理由です。

2.ノートPCの購入に至るまで
  1の理由で中古のノートPCを探していました。
 ま、ノートPC自体は何台か所有しているのですが、PC−UNIXを入れるにはスペック的に問題があるか、
 既にWindow$で使っているかのどちらかなので、UNIX専用で使えるノートPCを探していたのです。
 また、中古で探していたのは
  (1) 新品を買う程のお金が無い(最大の理由)
  (2) 最近のノートPC程のスペックはいらない(2次的な理由)。
 からです。
 必要なスペックは
 ・CPU     最低でもPentium
 ・メモリ     32M以上
 ・HDD     大きければ大きいほど良い
 ・ディスプレイ  TFTでSVGA以上
 ・その他     CD−ROMドライブ、PCカードスロット有り
 です。

 時折中古ショップのサイトを覗いていたのですが、
 なかなか「これ!」というのに出会えませんでした。
 ついに発見!
 ところが、6月の頭に童夢に久々に立ち寄ったところ、
 中古のノートPCが沢山置いてあり、ThinkPad760ELや
 Dynabook SS−R575、Satelite420等に
 混じってFMV BIBLO 5100NU/Wがありました。
 スペックは
 ・CPU     Pentium100MHz
 ・メモリ     16M
 ・HDD     810M
 ・ディスプレイ  11.3インチTFT(SVGA)
 ・その他     PCカードスロット有り、CD−ROMドライブ無し
 ということでした。

 さてこのノートPCを購入すべきか?
 メモリは増設用に使えそうな16Mが手元にあったので、16Mでも可としました。
 CD−ROMドライブはOSのインストール時に使うくらいなので、
 無くてもネットワーク経由、もしくはPCカード接続のCD−ROMドライブを使えば問題無さそうです。
 ところが、富士通製品ということで、そのPCカードスロットに不安がありました。
 というのも、以前同じ富士通のB5ノートのPCカードスロットをどうしてもDOSで
 認識させることが出来なかったので、Linuxのドライバで使えるかどうかが判らなかったのです。
 以前認識させようとした時は、IBMのPlay at willとPhenixのカードサービスを使ってみたのですが、どちらも駄目でした。
 で、結局、、、、、、
 価格が¥9,800と安かったので迷った挙句購入してしまいました。

3.いよいよLinuxのインストール

・始めに
 LinuxのインストールはCD−ROMドライブの付いているFreeBSDマシンのCD−ROMドライブをNFS(*1)mountして
 行なうつもりでした(以前FreeBSDをノートPCにインストールした時と同じ方法です)。

・最初の試み(失敗)
 帰宅後Laser5LinuxのCDからインストール用FDを作り、インストールを試みたのですが、PCカードが使えません。

・じゃぁ、参考書を
 仕方がないので、Laser5は諦めFDからのインストールをすることにして、
 翌日書店に行きDebianのCDが付いている本を買ってきました。
 その本を読むとインストールにはbootディスク(*2)とrootディスクだけではなく、
 driverディスク(1〜3)も必要だと書いてあったので、FDを用意して5枚のディスク(*3)を作り
 インストールを始めました。Laser5でも同じだったのかもしれませんが、面倒なので確認していません。

 以降はDebian GNU Linux2.2のインストールに関することです。
 他のディストリビューションでは多少違いがあると思います。

・PCカードの使用が可能になるまで
 まずはキーボードの設定をします。私の場合は日本語キーボードなので、qwerty/jp106を選択しました。
 次にHDDのパーティショニングと初期化を行ないますが、
 HDDの総容量が810Mと大きくないので、/パーティションとswapパーティションだけにしました。
 続いてカーネルとモジュールのインストールを行います(この時途中でdriverディスクを入れると
 PCカードの設定が行なえるようになります)。
 その後PCカードのコントローラやCD−ROMドライブの設定を行ないます。
 これでPCカードが使えるようになったので、他のUNIXマシンからネットワーク経由での
 インストールが可能になります。

・ようやくネットワーク経由のインストールへ
 NIC(アライドテレシスの10M)を挿し込み、インストールメディアはnetworkを選択します。
 ここでネットワークの設定を行い、必要なパラメータ(IPアドレス、Gatewayアドレス等)をセットします。
 そしてFreeBSDマシンのCD−ROMドライブをmount(*4)しました。
 #mount元は192.168.xxx.xxx:/cdromのように指定します。
 以降はCD−ROMドライブ付きのPCへのインストールと同様の手順でインストールが出来ます。
 ということで、以降の手順は省きますが、ここらへんは書店で売られているインストール本であれば、
 どんな本にでも書いてあるようなことですので、立ち読みでもして下さい。

4.その後

・メモリ増設
 Xウィンドウシステム及びウィンドウマネージャ(QVWM)をインストールしたので、
 メモリが不足してスワップを起こすようになりました。
 それを解消するため増設用メモリを探したところ、本体を購入したショップに32Mの在庫があることが判ったので、
 速攻で購入して増設しました。

・HDD交換
 X上で動くソフト等をいくつか(NetscapeCommunicatorを含む)インストールしたところ、
 HDDの容量に余裕がなくなったので、家で余っていたDKLA−24320(4.3G)と交換しました。
 OS及び環境を新たに入れ直すのは大変なので、交換前のHDD(東芝のMK1926FCV)の中身を
 移植することにしました。
 今までもWindow$では外付けCD-ROMドライブ(CDP-TX6)のインターフェースカード(PC-IDE2)と
 ドライブのインターフェース部分及び電源を使ってHDDの中身をコピーしていたので、今回も同じ手段で行いました。
 手順は、
 1.DKLA−24320をCDP-TX6のケースに入れ、PC-IDE2でFMVと接続
 2.fdiskで領域分割
  #cfdisk /dev/hdc
  今回は容量に余裕があるので、/,/home,/var,/usr及びswapの5つに分けました
 3.mkfsでファイルシステムを作成
  #mkfs /dev/hdc1
     :
  #mkfs /dev/hdc6 のようにhdc1,hdc3,hdc5,hdc6の4つの領域に作成(hdc2はswap領域、hdc4は拡張領域である
   hdc5及びhdc6の親領域のためmkfsは不要)
 4.マウントポイントの作成
  #cd /mnt
  #mkdir usr ; mkdir var ; mkdir home ; mkdir root
  分割した領域毎にマウントポイントを作成
 5.新しい領域をマウント
  #mount /dev/hdc1 /mnt/root
  #mount /dev/hdc3 /mnt/home
  #mount /dev/hdc5 /mnt/var
  #mount /dev/hdc6 /mnt/usr
 6.ファイルのコピー
  全てのファイルをコピーするので、tarコマンドでコピーを実行
  #cd /home
  #tar cf - . | (cd /mnt/home ; tar xfBp -)
  いちいちこれらのコマンドを叩くのは面倒なので、以下のスクリプト(ってほどのものでは無いが)を作って
  さらに一度に実行するためのスクリプトも作成して実行
  KOKO=`pwd`
  cd $1
  tar cf - . | (cd /mnt/$1 ; tar xfBp -)
  cd $KOKO
  さらにファイルシステムの構成を変えるので、全ファイルのコピー終了後/etc/fstabを修正
 7.HDDの交換
 8.レスキューディスクで起動
 9.LILOのインストール
  #mount /dev/hda1 /target
  #lilo -r /target
 とこれでHDDの交換は終わりです。本当はroot直下の各ディレクトリをコピーするために、もう少し作業があったのですが、
 割愛させて貰います。
 Linuxでもファイルのコピー(+ちょっとの作業)、つまり再インストール無しでHDDの交換が可能なことが判りました。

2002/07/19追加:新しくFMV−5133NUを購入し(もちろん中古)、こちらにもLINUXをインストールしました。
 
 インストールしたのはRED HAT LINUX7.3です。カーネルは2.4.18で、
 各種パッケージの管理はRPMです。このため上記のDebianとはインストールの手順が違います。
 まずはBootディスクの作成です。CD−ROMからboot可能であれば必要ないのですが、
 CD−ROMドライブの無い(新品なら付いてたのですが、中古で購入したものなので)状態なので
 FDからbootするためには必要です。
 インストール用CDの/images/jaにあるpcmcia.imgファイルと/imagesにあるpcmciadd.imgの
 二つのファイルを他のUNIXマシンでddコマンドを使ってFDに書き込みます。
  #mount /dev/cdrom /mnt/cdrom   ←CDのマウント
  #cd /mnt/cdrom/images/ja     ←FDイメージのディレクトリに移動
  #dd if=pcmcia.img of=/dev/fd0  ←pcmcia.imgの書込み。これがbootディスクになる
  #cd ../             ←pcmciadd.imgのあるディレクトリに移動
  #dd if=pcmciadd.img of=/dev/fd0 ←pcmciadd.imgの書込み。こっちはpcmciaのドライバディスク
  #cd /              ←rootディレクトリに移動(CDROM内のディレクトリから出る)
  #umount /mnt/cdrom        ←CDのアンマウント
 これで作ったbootディスクでbootすると途中でpcmciaのドライバディスクを要求されるので、
 2枚目のFDをドライブに入れ ENTERキーを押すとドライバが読み込まれてPCカードが
 使用可能になります。
 FDからの読み込みが終わるとインストーラが起動し、使用言語、キーボードの選択をします。
 次にインストール媒体を選択します。この時までにPCカード接続のCD-ROMドライブを接続しておき、
 「ローカルCD-ROM」を選択します。
 ここでドライブにインストール用CDが入っていないと警告が出ますので、ドライブにCDを入れます。
 あとは通常のインストールと同じです。ただ、FTP版とはいえインストールに必要なHDDの容量は
 かなり大きいので、今回のHDD(容量2G。/bootとswap領域を除いた残りは約1.8G)に収めるためには、
 パッケージの選択を細かく行い、不要なパッケージはインストールしないようにしました。
 それでもパッケージの総容量は1.4Gに達しました。フルインストールには3.3Gほどの領域が必要です。
 XF86の設定はインストールの途中で行ったのですが、何故か必要なサーバー(XF86_SVGA)がインストールされず、
 VGA16のドライバで表示されるようになってしまいました。
 仕方が無いので、CDからSVGAのパッケージをインストールした後/usr/X11R6/bin/Xconfigurationで設定をやり直しました。

2004/04/24追加:ファイルサーバーとしていたThinkPad380EDを
 プリンタサーバーとしても使うためにプリンタの設定及びsambaの設定をしました。
 
 sambaはパッケージをダウンロードしてくるか、CD−ROMからコピーするかして
 適当なディレクトリにrpmファイルを置いた状態でrpmコマンドでインストールすれば殆どそのまま使えました。
 プリンタのほうは少々苦労しました。
 というのもRED HAT Linuxは8からプリンタの管理ツールで管理するのが標準となったみたいで、
 直接/etc/printcapや/etc/cups/内の設定ファイルを編集してもlpdやcupsdが設定情報を読み込んでくれません。
 今までは/etc/printcapにプリンタのエントリを追加してlpdを再起動すればすぐに印刷が可能だったのですが、
 今はXベースの設定ツールを使うかターミナルから

 コマンドを使うかのどちらかでプリンタの設定を行うようになっています。
 #このことを知るまでにいろいろ試したけど駄目でした
 このTP380はサーバーとして使うつもりだったのでXなんぞ入れてません。
 というわけで必然的にターミナルからコマンドで設定することになりました。
 上記のコマンドを実行するとキャラクタベースのGUIっぽい画面が出て設定自体は簡単にできました。
 最後のテストプリントでEUCコード含みのテキストを印刷しようとしてエラー
 (どうもコード変換で発生したらしい)で設定ツールがこけましたが、
 クライアントからプリンタに接続しての印刷は問題なくできました。
 設定ツールが開発されて設定が簡単に出来るようになるのは良いことだと思いますが、
 そのツールが無い(もしくは知らない)と設定できないようになるのは疑問が残ります。
 ま、とにかく自宅でプリンタの共有が可能になったので、これでどの部屋にいても
 (電波が届く範囲に居れば)クライアントのノートPCから印刷が出来るようになりました。

戻る

*1:Network File Systemの略。ネットワーク経由で他のUNIXマシンのファイルシステムを共有することが出来る。
*2:Debianでは「resqueディスク」と言われる。
*3:実際にはbaseシステム用の11枚も作成した。
*4:NFSmountするにはNFSサーバー側でmountしたいディレクトリをexportしておかなくてはならない。
   FreeBSDの場合は/etc/exportsファイルにNFSで開放するディレクトリ名(必要ならオプションも)を記述する。